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引きこもりがブラックなピラティスジムでトレーナーになった結果、3ヵ月でギブアップした話④

みずいろ

前回の記事では、引きこもりだったわたしが未経験でピラティスのパーソナルジムのトレーナーとして採用され、実際に働き始めるまでについて語りました。

今回は、ついにオーナーの化けの皮が剥がれる出来事が発生したのでそちらについて書いていきたいと思います!

オーナーと妊婦さんトレーナーとの充実した研修期間

オーナーと、妊婦さんトレーナーとの研修期間は本当に楽しく刺激的で、充実したものでした。

2人とも、今までわたしが出会ったことのないタイプの人たち。

オーナーは整骨院に勤めた後、採用率の低い大手ダイエットジムに合格。そこで修行を積み、数年前に独立して自分のジムを立ち上げました。
妊婦さんトレーナーは、ヨガのインストラクターや保育士の経験があり、さらにシングルマザーの方のための施設を作りたいという夢を持って経営者としても活動している人でした。

人目など気にせず、自分のやりたいことをとことん貫いている。
その姿は、自分にはとても眩しく映りました。

2人の発言で、とても心に残っている言葉があります。
それは、

「自分の感覚を信じている」

というもの。

わたしはこの言葉を聞いて、ハッとしました。
2人と自分との最大の違いはこれだと思いました。

わたしは、自分の感覚を信用していない。
だから自信がなく、いつも人に聞いてしまう。人目を気にしすぎてしまう。
「これがわたしの考えだ」と堂々と主張できない。

自分を信じることができない。

これが、わたしが自分らしく生きることを阻む最大の要因。

2人のことが、すごくすごく羨ましかった。

この人たちみたいに、わたしも自分を信じられるようになりたい。
他人に認められなくても、自分で自分を認められるようになりたい。
自分の軸を持った人間になりたい。

あの頃のわたしは、オーナーの言葉を疑ったことがありませんでした。

「この人についていけば、自分も変われる。」本気でそう思っていました。

でも、その考えはある出来事をきっかけに、一瞬で覆されることになります。

ついにオーナーの化けの皮が剥がれる

ジムというと、普通はホームページにスタッフの顔写真と名前・経歴が掲載されてることが多いと思います。

ただわたしは個人情報をネットに載せることが苦手なため、掲載しないことを面接の際にオーナーに了承してもらっていました。

ある日のことです。
スタッフによる横領事件によりお客さん離れが加速したB店。
その片付けのため移動中の車のなかで、オーナーがおもむろにこう言いました。

「みずいろさんって、ホームページに自分の顔とか経歴出したくない人じゃないですか?」

「これって、すごいチャンスなんですよね。」

(チャンス…?)

ホームページに自分の情報を出さないことで、どんなチャンスがあるんだろう?
分からないけれど、オーナーが言うのだからきっと何か良いことがあるのだろう。
ワクワクしながら次の言葉を待っていると…。

「つまりはね…何とでも言えるってことなんですよ」

運転席のオーナーが、助手席に座るわたしに囁きました。
その顔は、まるで時代劇に出てくる悪代官のようにゆがんでいて、見た瞬間に背筋が凍るような思いでした。

「別のジムで半年くらい教えてましたって言ってください。大丈夫、バレやしないんですよ。この業界ではよくあることで、自分も昔そうしていました。」

(…………!!!!!)

オーナーからの、耳を疑う言葉。
それは…経歴詐称の要求でした。

信じられませんでした。
そこには、面接や研修のときの、明るく真っすぐで熱いオーナーはもはやいませんでした。
次々にスタッフが辞めていき、次々と他店舗が潰れていく自分のジムの体裁を取り繕いたい。
お客さんの信頼よりも、体裁を守ることしか考えていないようにしかわたしは見えませんでした。

わたしは震える声で言いました。

「お客さんに嘘をついていいんですか…?」

ジムの事務室には、デカデカと「嘘はつかない」と書かれたポスターが貼ってあります。
オーナー自身で決めたポリシーです。
それを、この人は…。

「みずいろさん、考えてみてください。未経験のトレーナーに教えてもらいたいお客さんがいると思いますか?」

じゃあ最初から未経験とるなよ。
求人票には未経験歓迎を書いていたじゃないかよ。
最初から経歴詐称されるつもりだったってこと??
もう訳が分かりません。

「嘘はつけません」

混乱の中、わたしは言いました。

「真面目だなあ…。」
これ以上、この人に言っても無駄だと思ったらしく、オーナーはそうつぶやいた後はこの件について何も言ってきませんでした。

眠れない夜

オーナーの裏の顔を見たこの日、わたしは家に帰ってからずっと落ち込んでいました。

真っすぐにお客さんやジム、スタッフに向き合っているように見えていたオーナーは、実は経営のためならお客さんに嘘をつくこともなんとも思わない人間だったなんて…。

夫に相談すると、
「知らない間に詐欺の片棒を担がされることになる。そんなおかしなジムはすぐに辞めたほうがいい。」
と言われました。

確かに…。
経歴詐称について断わりはしたものの、知らないところでオーナーがお客さんにわたしの経歴を偽って伝えていたりしたら…わたしも自動的にその嘘に加担したことになってしまう。
そんなのは嫌だ…。
それに、こんなことを言うオーナーのことをもう人として信頼することはできない。

でも、トレーナーになれたのに。
これまで研修、一生懸命頑張ってきて、少しずつ知識もついてきたのに。
ここで辞めたら、また引きこもりの生活に戻ってしまう。

どうしたらいいんだろう。
悶々と考え続け、その夜は眠れませんでした。

そして、出した答えは…。

                                    つづく

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